最も古いキッチングッズ
確か小学生の頃、ほんの一時、お菓子作りをしていた事がある。 友達の間で流行っていたからだ。
近くのスーパーで、泡立て器や型などと一緒に買ってもらったと記憶している。
直ぐに飽き、母も計量する様な食事やお菓子を作るわけではないので、ずっとキッチンの片隅に追いやられていた。…はず。それ位、すっかり存在を忘れていた。
結婚をし、自分だけのキッチンを好きなように一から作っていく。特に料理をする事が好きな訳ではないが、ワクワクした。
一から揃えられるのに、なぜこの古い計量スプーンを実家からわざわざ持ってきたのか。 経緯を全く覚えていない。 母が持たせてくれたわけでもない。
しかも、全てが輪っかで繋がっていて、使いにくいと当時から思っていた。それはよく覚えていたのにだ。
主婦になって何年も経つのに、目分量が苦手で、未だに毎日のように使っている。
外せば使いやすいと、使う事が日常になって漸く気付いた。洗うのも楽。
ただ、もし小学生だった私がその事に気付き、輪っかを外していたら、こうして揃って手元になかったと思う。繋がっていたからこそ、どこかにまぎれず全てが残っていたし、ふと目に留まって私のキッチンに連れてきたのだと思う。
期せずして、私のキッチンで一番の古株。